クラウドファンディングとは何ぞ?
その前に、クラウドファンディング自体についてREADYFOR?から引用します。
クラウドファンディングとは、群衆(Crowd)と 資金調達(Funding)という言葉を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める仕組みを指します。
READYFOR(レディーフォー)は2011年3月のオープンから3750件以上のプロジェクトの資金調達を行い、日本最多の15.2万人から19.3億円以上の支援金を集めています。弊社ではすべてのプロジェクトにキュレーターと呼ばれる担当者がつき、サポートさせていただくので中学生から80代まで幅広い方々にご利用いただいております。
―― READYFOR?
現役隊員の90%が成功!でもちょっと待て。
READYFOR?のサイト内を「青年海外協力隊」のワードでググると34件ヒットしました(2016年1月29日現在)。そのうち10件がプロジェクト実施時に現役、17件がOB・OGでした。
そして、現役隊員の90%が資金の調達に成功。OB・OGも約70%が成功しています。READYFOR?全体の成功率が分からないので何とも言えませんが、現役隊員については(母数が少ないとは言え)結構な高確率でしょう。内容も学校建設から井戸掘り、アロハシャツ作成などなど様々。現地の人々のために民間から直接資金を募れるクラウドファンディングは、資金の使途設定の自由度の高さや額の大きさ(現役隊員で平均120万円)、スマホの普及やより身近な国際協力という面からも理に適っている。
参考:個人間送金サービPaypal急成長のカギ(eBayとPaypalの離婚。幸せになったのはどっち?)
そっか!途上国ではなかなか自由に使えるお金もないし便利だよね!・・・と思いきや、実はJICAボランティアには現地業務費という制度があるんです。
現地業務費
受入国での配属先が抱える様々な問題の中には予算的な問題もあり、資機材の不足等から効果的な活動が期待できない場合があります。この状況を、先方の自助努力を促しつつ解決するために、JICAがボランティアの活動経費を支給する場合があります。
―― 待遇と諸制度/JICAボランティア
ただ、この現地業務費、当たり前の話だけどJICAの事前承認が必要なんですよ。そりゃそうだ。ぼくらの活動を支えてくれるあらゆるお金の出所は税金なのだから、必要性やコストパフォーマンスなどチェックされて当然。派遣される国によって基準は異なれど、ある程度、使途は限定されています。
そう、何にでも使えるワケじゃないんです。
これは日本国内のNPO等が抱える補助金の仕組みとも通じるところがありますが、けっこうかゆいところに手が届かなかったりします。きっと、各隊員も現地業務費で賄えない部分があったのだろうなあ、と想像するのは簡単。ぼくだって現地業務費を使ったことありますから。
それでも敢えて言いたい。本当にクラウドファンディングを使う必要があったのか?と。
なぜか?
それは資金調達の継続性が確保できているかという点。魚の釣り方に例えられたりします。確かに今、目の前で困っている人を助けるのは素晴らしいことだと思います。まして、毎日いっしょに過ごしいる仲間でもある(これが青年海外協力隊の最も魅力的な部分だと思います)。でも、ぜんぶ日本語じゃん。現地の人、次もJICAボランティアに期待しちゃわない?とも思っちゃう。1人のボランティアの後ろには、たくさんの応援者が日本に居ますからね。共感だって得られやすい=成功しやすい。
幸いぼくの同期にはファンドレイジング自体が要請内容に入っている隊員がいます。なので今度、このことについて話し合ってみようと。
JICAよ、クラウドファンディングに目を向けろ
ここまで書くと、現役隊員がクラウドファンディングを使うことに反対の立場を取っている様に思われるかもしれませんが、ほかの隊員が使う分にはご自由に、というのがぼくのスタンスです。そもそもそんな権利ないし。ただ、ぼく自身は現役時代に使うつもりはないというだけです。仮の話をしましょう。5000円支援へのギフトはサンクスレターとチョコララ謹製100%オーガニックのカカオバターとでもしましょうか。
カリブの楽園・ドミニカ共和国で育ったオーガニックカカオをフェアトレードで日本に届けたい!はじめまして!現在、ドミニカ共和国で青年海外協力隊として環境教育をしているウマコシです。ぼくの配属されているアルタミラ市は、ドミニカ北部に位置するプエルトプラタ県の山あいの町です。町のシンボルにはカカオが描かれているほど緑豊かな地域で、ドミニカ人の間でも「自然が美しい町」として知られています。そんなアルタミラ、実は数年前からJICAの協力を得て、エコツーリズムを推進しています。この背景には観光業に関する長年の課題が横たわっています。ドミニカ共和国の主な収入は農業・観光・海外からの送金の3本柱で、どれも比率は同じくらい。特に観光は欧米から訪れる富裕層をターゲットにした「オールインクルーシブ」型のホテルが有名。でも、このオールインクルーシブホテルがネックなんです。ホテルの中に何でも揃ってるから、お客さんがホテルの外でお金を使わない。つまり、地域の中でホテルだけが潤う仕組みが出来上がっているワケです。そこにメスを入れようと立ち上がったのがJICAのプロジェクトで、地域資源を活かしてホテルの外に観光客を連れ出そう!というものです。アルタミラには地元出身の有名なメジャーリーガーが設立した球場があります。
この球場にインスピレーションを得て生まれたコンセプトがディアマンテ・ベルデ(スペイン語で「緑のダイアモンド)の名を冠したエコツーリズムです。現在では球場に訪れる観光客も少しずつ増え、地元チョコレート工場の製品や女性グループの鉤針編み製品も売れるようになってきました。しかし、価格設定は低く、値段を上げることを提案すると「それじゃ売れないわ」と首を横に振ります。そこで!地元を象徴するカカオをフェアトレードによって日本に送り、自分たちの育った町が持つ資源の魅力をキチンと伝えることができれば、たとえ値段が高くても売れるという自信を付けてもらいたいと考えました。こんかい皆様にお願いしするのは、フェアトレード実現に必要な諸手続きに関する費用100万円をご支援願いたいと思います。
えーっと・・・自分で書いてて白々しくなってきた・・・orz
最後の資金額と使途については適当に書きましたが、それでも、もっとできることあるだろ、と。あと、何だろこの押し付け感。フェアトレードのルートが開通しても、すぐ崩れちゃいそう。
たしかにREADYFOR?にはキュレーターが居て、丁寧にプロジェクトを手伝ってくれると思うのですが、良い面もあれば悪い面もあるのが世の常。クラウドファンディングだって同じです。ここを隊員たちは認識してるのか?この点に関してぼくは危なっかしいなぁと感じている次第。
参考:米国連邦取引委員会、Kickstarterで集めた資金を私的に利用したとして製作者に詐欺の嫌疑。初の事例に
別に意地悪を言うワケではありませんが、途上国で活動してたらプロジェクトの頓挫なんてザラ。ふつうです。そこに悪意はあらずとも。
なので、JICAには訓練所でクラウドファンディングやファンドレイジングについての基礎的な知識を講座に入れてもらえないか?と言ったこともあります。
また、今後の流れを考えると、既存のクラウドファンディングサイトと連携して隊員が使いやすい仕組みを整えることも必要になってくるのでは?とも思っています。34件中成功したプロジェクトの総調達資金額は3000万円以上ですからね。
先輩隊員が歩んできた道を大切にしよう
さきほど1人のボランティアの後ろには、たくさんの応援者が日本に居ると書きましたが、それはボランティア1人1人の人間性によるもの。そして青年海外協力隊という制度が理解され共感されるのは、先輩隊員が地道に活動を繋いできたブランドという面もあります。
そういった意味で、ぜひ知っておいて貰いたいプロジェクトが2つあります。
・ネパール被災地の子どもたちに「ゆでたまご給食」を届けたい! / ジギャン クマル タパ
・日本とスリランカを野球で結ぶ〜南アジアの甲子園実現に向けて / スジーワ ウィジャヤナーヤカ
時間や場所を超えて、協力隊の活動がクラウドファンディングに実った1つの形だと思います。
まとめ
以上のようなことから、現役隊員がクラウドファンディングを使う場合
1.自助努力や現地業務費、もっと言えば創意工夫で本当に賄えないかもう1度考えよう。
2.クラウドファンディングを使うなら、その使い方まで技術移転しよう。
3.ファンドレイジングについて理解を深めよう。
の3つを念頭に置いてほしいですね。
特に3のファンドレイジングについて理解を深めたい場合、既に資金調達に成功している隊員のプロジェクトを読むこと以外に、ネット上に良い資料もあるので一読をオススメします。ウガンダ人の自立支援プロジェクトの1人あたりの額なんて、「寄附とは?価値とは何か?」を考えさせられる良い例です。
プロジェクト
・ベナン発!手作り浴衣制作を通じて笑顔を増やし、国を繋ぎたい! / 現役・達成率250%!
・農業学校を建設し1万人のウガンダ人の自立支援を! / OG・1人あたりの寄付額5万円!
・水道管を設置してマサイ族の住地域に安全な水を届けたい! / 現役・支援者数200人以上!
資料
・活動基盤強化 ハンドブック - 神奈川県 / ファンドレックス作成!
・ファンドレイジングお勉強資料_JunOhnishi / よくまとまってます