中間報告を終え、後任要請に向けた仕込みを始めました。
誰にどうして欲しいのか
エコツーリズムを謳うアルタミラ市ですが、市のブランドとして「エコムニシピオの散歩道」と「コミュニティベースボール」を挙げています。主なパイロットプロジェクトは「国民的ヒーローと豊かな自然に触れるツアー」。
お、おう・・・。
なんですかね?違和感覚えるの、ぼくだけ?なにこの「水と油」感。ヒーローが案内してくれるの?JICAの技術プロジェクトで立ち上がったものだけに、専門家さんが入って色々練り上げた成果だと思います。別にケチつけるつもりはありません。すごく苦労したと思います。素直に「スゲー」って思う。
でも、こうも思うんですよ。
「欲張り過ぎ」だと。
実際、アルタミラ市が属するプエルト・プラタ県の他の8市はブランドを1つに絞っています。ロス・イダルゴス市の「『幸せを分けてあげる』イベント」とかビジャ・イザベラ市の「マナティが住める町の体験学習ツアー」とか。
うーん、欲張った張本人に心当たりがあるような、ないようなw
顧客像を完全に見失ってる。
ぼくは愛媛県出身なので高知県が羨ましかった。なんでかって言うと、高知県は太平洋に面してて「カツオ」が美味しいから。愛媛県は瀬戸内海に面しています。お魚、美味しいです。なんなら、カツオの水揚高日本一の港も愛媛にある。
でも、それって香川県でも言えることだし、広島県や大分県にも言えること。だって、みんな瀬戸内海に面しているから。その中で広島県は「牡蠣」っていう独自の海産物を全面に推し出してて差別化を図ってる。いや、愛媛の県魚である鯛やそれを使った鯛めし(ぼくは宇和島風の方が好き!)は美味しいし、宇和島で養殖されてるハマチだって絶品ですよ!でもそれは、長年の漁師や養殖業者さんをはじめとした、たくさんの地域の人たちの研鑽の賜物です。そこには商業ベースで他地域との競争があった。
野球はドミニカの国民的スポーツです。それを地域の観光資源として推し出そうとすれば、並大抵の努力では差別化できません。だって、どこもかしこも野球してるんですから。確かに国民的ヒーローが寄付で建てたスタジアムはありますが、ドミニカ人は野球体験なんてしたいか?ドミニカ人にとって野球は体験するもんじゃなく、やるもん・やってるもんだと思うのです。他地域のドミニカ人を顧客ターゲットに据えるなら、ちょっとムリがあるんじゃ・・・。古代野球とかあって、それが体験できるならいいかもだけど。
視点を変えて外国人観光客が野球を体験したいとするでしょう。ぼくも1回、スタジアムに行ってきました。
うーん・・・ぼくは野球好きではないのでイマイチ分からないのですが、ボカチカにあるメジャーリーグのファームやサンペドロ・デ・マコリスにある広島東洋カープのアカデミーの方が観光資源としては魅力的。だって、普段から人がいるもの。人のいないスタジアムほど寂しいものはない。
それよりは「アルタミラに住んでる」って言ったら、首都でも他市でもほぼ100%の確率で返ってくる「あー!めちゃ自然がキレイなところだろ?」っていうエコムニシピオの一点推しでいいと思うんです。どうしてもスタジアムを推したいなら、お花でいっぱいのフローラルスタジアムにでもすればいい。メルヘン&エコだ!
だいたい、コミュニティベースボールを象徴する野球ネタのお土産の売上について聞いたら「全然売れない」。マジか。
損切りしろ
というワケで、売れない製品をいつまでも作り続ける理由もないので、軌道修正を提案しようかと。「選択と集中」ですよ。この際、コミュニティベースボールは捨てよう。スタジアムを活かしたいなら花を咲かせよう。JICAが支援した事業の一環だからといって後生大事にする必要なんてないんだ!誰に何を売るかは、自分たちで判断して欲しい。
もちろんJICA側からしたら、せっかく提案したプロジェクトの一部を破棄されるのはどうかと思うだろうけど、最終的には「手が離れること」が目標のはず。
うーん、専門家さんに嫌われるボランティアw
熊本城とアルタミラ
とは言っても、ただ「コミュニティベースボールを捨てろ」というのは能がないので代替案を。
アルタミラのスタジアム、地元出身のメジャーリーガーであるバルトロ・コロンが私財を投じて建てたものです。貴重な地域資源。
ただ、この建物(ハード)だけに目を奪われてはいけません。本当に重要なのはソフト面、バルトロ・コロンとその人脈です。
ぼくがスタジアムに行ったのはメジャーリーグ関係者同伴でしたが、彼曰く「引くくらいスゴイ」選手たちのユニフォームが陳列されています。マリナーズ時代のイチローのサイン入りユニフォームもある。初めて見た・・・。
たとえば私財を投じたスタジアムなら、その精神を活かして年に1回、チャリティゲームを開催するとか。バルトロ・コロンは年に数回はアルタミラに戻ってくるらしい。
参考:ムニシピオ紹介2:プロ野球選手の郷土愛が溢れた“緑のダイアモンド”アルタミラ市
そのときの観戦チケット&アルタミラ製品のプレゼント付き寄付制度を設けて、フローラルスタジアムの整備費用に充てる。これは熊本城の「一口城主」制度のパクリです。寄付してくれたら壁に名前入りのボールを埋め込んでいくとか。そう、ドミニカから日本をTTP(徹底的にパクる)!
チャリティゲームの前後1日をイベント期間にすれば国内外から野球好きな人々が来るかもだし、アルタミラ周辺の宿泊施設も潤うかも(アルタミラは宿泊&飲食施設が決定的に弱い・・・)。招待選手はプエルト・プラタのオールインクルーシブに(もちろん自費で)泊まってもらえばいい。イベント期間の屋台の売上の一部もしくは出店料をエコツーリズム推進の費用にすれば、アルタミラ市民からも薄く広く資金が集められる。地元民の出資は大切です。
プレミア化して地元民が観戦できないなんて本末転倒なので、地元民チケットも用意する。このあたりは国民IDカードがあるので利ざや目的の転売防止とか管理しやすいかと。
とまあ、妄想の中で風呂敷だけは広げられたので、明日は「バルトロ・コロンに会いたい!」とCPゴッドマザーに言ってみます。