2015年11月12日木曜日

任国外旅行パナマ編(中)元造船所勤務の隊員がパナマ運河に行ってきましたよ!

パナマ紀行第2弾。


パナマーックス!

パナマ運河に行ってきました。

造船所で働いたことがある身としては、ぜひとも訪れたかった場所。


入場料25ドルします。

割と高いなあ。儲けてるはずなのに。




ともあれ、じんわり暑いなか通り行く船を見ること小一時間。

同行してる隊員に多少の解説をしながら過ごしました。


パナマ運河を通れる船の最大幅は32.3mで、このサイズの船を「パナマックス」と言います。
(ちなみにスエズ運河を通れる最大サイズの船はスエズマックス)

と、ここでさすが環境教育隊員。

船のバランスを取るバラスト水について説明してたら、「バラスト水による水生生物の地域間移動に伴う生態系への影響」について質問がありました。

いい質問ですねぇ。


対策への対策

バラスト水を理解するために、まずは船の構造を少し説明しましょうか。

タンカーなどの船は二重底になっています。

なぜか?

言葉で説明するより図で見た方が早いですね。

出光タンカーさんから図と説明を引用します。



船体の事をハル(HULL)と呼びます。
主に原油タンカーにおいて船体が二重構造となっているものをダブルハル、一重構造のものをシングルハルと呼んでいます。

シングルハルのVLCCでは船体の外板が一枚で、積荷の原油が外板一枚で海と隔てられているので座礁等による軽微な損傷事故でも原油流出事故を起こしてしまう危険があります。
ダブルハルでは船体外板を二重とし、この二重外板の間のスペースを海水バラストタンクに割り当てることで、軽微な損傷事故で原油が流出する危険を防いでいます。

海洋汚染防止の観点から1992年発効の改正MARPOL条約によって1996年以降に建造するタンカーは船体ダブルハル化が義務付けられています。
当社運航原油タンカーも全てダブルハルタンカーです。



原油流出による海洋汚染防止のためにも役立っているのです。

とは言え、質問の通り環境への影響もあるので、さらに対策としてバラスト水管理条約があります。

バラスト水に含まれる水生生物が、本来の生息域外に排出されることによって、外来種となり深刻な生態系破壊を引き起こしています。こうした問題を受けて、バラスト水の管理等に関する世界的な規制について協議が行われ、2004年、国際海事機関(IMO)によりバラスト水管理条約が採択されました。


―― 株式会社日本総研 CSRを巡る動き:日本がバラスト水管理条約を批准へ より引用
ただし採択されただけで発効はされてません。

発効には30ヵ国以上の批准と世界中の船の積載量(商船船腹量)の35%以上が必要。

2015年2月現在で45ヵ国が批准しているものの、商船船腹量は32.57%にとどまっています

近く批准国が増えて(日本は2014年10月10日に批准しています)船腹量も達成する見込みらしのです。

モノがデカく、移動もグローバルなだけに環境保護の難しさを感じます。

船による環境汚染を考える上で忘れてはいけないのが「船の墓場問題」。

以前のブログでもチラッとふれました。

過去記事:ドミニカでは現役!30年前の日本車から考える途上国のリサイクル事情

船の寿命は20年~30年と言われているので、色々考えさせられます。

環境教育に取り組みだしたキッカケも造船所だったし。

ともあれ、最後はパナマ運河の歴史に関する映画を観て終了(20分中15分くらい寝てましたが)。

あと、パナマシティ市内では幸運を呼ぶお守り(?)としてパナマ運河の水(飲用不可)が売ってました。