2016年4月24日日曜日

環境教育隊員はトリックスター。ごみが減れば手段は何だっていい。

ヴィレッジヴァンガードのバイヤーさんの記事を読んで非常に共感するところがあったので。


雑に物事を愛する

ちょっと長めですが、引用します。

―お客さんのニーズはどこで判断するんでしょうか。

金田:日別の売り上げです。数字です。それ以外にないです。肌感覚で「売れてる」とか「来てる」とか言ったってしょうがない。

―ただ、数字を重視するのならば、人気のあるメジャーなアーティストを扱えばそれでいい、ということになりますが。

金田:それはないですね。メーカー主導のプロモーションだけってつまんないなーといつも思ってて。あくまでこっちのやり方で仕掛けたい。そうなると必然的にインディーズの人が中心になっていく。

―人気によらずお客さんのニーズを汲み取るポイントというのはどういうところにあるんでしょうか。

金田:そうだなあ……雑に物事を愛することを肯定してあげればいいんです。

―雑に物事を愛することを肯定する?

金田:カルチャーを愛する人って、それをどんどん深く、細かく突き詰めたくなるんです。でもヴィレッジのやっていることは逆なんですよね。そうじゃなくていい、というあり方を肯定する。どんなにマニアックだと思われるものでも、出来る限り間口を広くとって風通しをよくしたいんです。専門店じゃないんだから、入り口に徹したいって気持ちがあるんです。

―ある種の軽薄さとか、下品さがポイントになっている。

金田:そうなんです。ただ注意しなきゃいけないのは、下品だからいい、軽薄だからいいというわけじゃない。これは大事です。

―下品さを肯定しつつも、踏み越えちゃいけないラインがあるわけですね。だからこそアーティスト側からもちゃんと信頼される。そこのラインを守るために大事にしていることはありますか?

金田:それは知識です。もう、これは間違いない。売る側の人間がカルチャーの知識を誰よりも持ってないといけない。それが背骨にあることが重要。だから、スタッフにはできるだけたくさん音楽を聴いて、たくさん本やマンガを読んで、担当同士で交流して、「あれはよかったね。これもよかったね」と話さないと、と言ってます。とにかくマンガを読んで本を読んで音楽を聴く。その数をこなすことが絶対条件。ただ下世話なだけの人と、知識を持った上で下世話なことをするのは、全然違うんです。

―なるほど。サブカルチャーの知識をきちんと持ちつつ、スノビズムに陥らないようにする。

金田:そうですね。そこで活きているのが資料を読まないことですね。再生ボタンを押して聴いた印象をそのまま書く。そうすればお客さんと同じ目線に立てるわけですから。

―― ヴィレヴァン下北沢店名物バイヤー・金田の語る成功論と怒りとは/CINRA.NET

これね、すごい分かるんですよ。学生時代、CDショップでバイトしてたこともあるので、どっちかと言うとコンピものは邪道というか軽薄なイメージを持ってました。あと、当時はベストアルバムが売れに売れてた時代だったので(オリジナルアルバムが2枚しかないのにベストアルバムを出すアーティストが居たりというナゾのバブルっぷり)、いくら自分が好きなアーティストがベストアルバムを出したところで、なんか敬遠しちゃったり。なんてイケ好かないヤロウだったんだ。

それも今となっては特にこだわりもなく、聴きたいものを聴きたいようにフラフラしてます。まいにち強制的に聞かされるバチャータ&メレンゲですら、1、2曲くらいは好きなものもありますし。



ドミニカ人は、雑だ。

ドミニカは年中&国中、同じレパートリーのバチャータ&メレンゲが流れています。よく飽きもしないもんだ・・・と思ってたら、OGがいいこと言ってたのを思い出しました。「彼らはとりあえず音楽が鳴っていればいいんだよ~」。

雑!

なんッて雑なんだ。でも、確かにそうかもしれない。でも、その雑さゆえバチャータ&メレンゲが嫌いなぼくでさえ何曲かはうろ覚えながらも口ずさめて、そうすることでドミニカ人はすごく喜んでくれる。雑なことは、何も悪いことだらけじゃない

ドミニカ人の雑さついでに言うと、環境教育についても雑。と言うか、ぼくのCPが雑。思い起こせばアルタミラに初めて来た去年の2月、「高倉式コンポストがやりたい!」と言うからすぐに作ったのに、あれから一向に進展もなく早14ヵ月が過ぎ。チョコララのセシリアが興味を持ってくれたおかげで、どうにかこうにかジョランダに高倉式コンポストの講座の講師をして貰ったものの、作らせて終わり。その後のケアはゼロ。言っても無反応。忙しいの一点張り。雑だ。

なので、最近はセシリアを軸に高倉式コンポストの講座を組み立てようとしている。ジョランダが雑なおかげで、本当に興味のある人と一緒に活動できそう。ありがとう、ジョランダ。


環境教育隊員は、走りながらまなべ!

そんなこんなで、最近は高倉式コンポストのことを復習してたり。パナマOBの宮﨑大輔くんのブログは参考になるなー。特に次の部分は、これまた激しく同意。

(1)日本人専門家は、効果を高めることを目指している

日本人の専門家は、既存のコンポストよりも分解速度を早めたり肥料効果を高めることが目的で、高倉式コンポストを普及しようとする。

日本人にはトヨタで有名な「改善」の思想が染みついているからだ。

より効果が高い肥料、より分解が早いコンポスト、より臭わない生ゴミ処理方法を追及してしまう。

(2)途上国の村人は、作業を減すことを目指している

しかし、発展途上国の村人の多くが願っていることは、日本人専門家とは違ってる。

彼らが望んでいることは、作業を減らして労働を楽にすることだ。

途上国の田舎に住む村人は、日本人とは価値観が違う。

より少ない材料で作れる肥料、より少ない工程で作れるコンポスト、より楽にできる生ゴミ処理方法を求めている。

―― 高倉式コンポスト(JICA推奨の微生物発酵液型)を、容器が不要で簡単な作り方へ改良したコンポスト有機堆肥の作成方法/JIBURi.com

そうなんだよねぇ。高倉式、ちょっと面倒くさい。雑なドミニカ人に普及できるか、ちょっと疑問に思ってるのも事実。そして、ぼくは農学部出身でも何でもないので、大ちゃんみたいに深い知識もない。

だから諦めるのか?と言えば、そうでもなく、とりあえず手元にある資料など読み直し、ネットで補いながら勉強したり。でも、「大切なことはマニュアルを学ぶことではなく、その根底にある理論を学ぶことである。」というのは金言だと思うし、これはヴィレヴァンの金田さんの言ってる「背骨としての知識」にも通じる。

実は今、コミュ開隊員から「高倉式コンポストの講習 by セシリア」を依頼されてて準備を進めてるんだけど、その隊員の任地ではうさぎの養殖を始めてて、「『うさぎのフン』も使えないかなー?」って言われてる。まさか「コンポスト うさぎ フン C/N比」でググる日が来るとは思っていませんでしたよ。

そんなこんなで色々と勉強中なのですが、環境教育というかぼくの要請の根っこは「地域のごみ問題を解決する」なので、ごみが減るなら方法は何だっていいんです。それがたとえにわか仕込みの知識であろうと、まずはやって見なくちゃ手応えもへったくれもない。手応えがあったら、更に知識を深めて実践していくだけ。

ジョランダは雑なので経営学的に言うと、とにかく「DO!DO!DO!」。PDCAのPとCとAがない。それを彼女に求めるのはもう諦めた。時間的にムリ。それより、今、経営支援的な関わり方もしてるチョコララメンバーの方がPDCAの重要性を分かっているので、そっちに注力します。

大切なのは隊員の活動として多く失敗しながらも、その失敗をどう活かしていくか?という部分。ごみが減るなら組む相手は誰であってもいいし、方法もコロコロ変えたっていい。今日言ったことを、明日くつがえしてもいい。ただそこに「一定期間で何回か呼びかけて反応なければ切る」とかの、感覚的じゃくて数字の証明は不可欠


「伝えたい方法」と「伝わる方法」

市役所で環境教育の講座をしているときに時間を守ることについて話し、その流れで簡単な日本語を少し教えました。スペイン語にはSHの発音がないので、シュンはチュンになることは知ってたし、いくらスペイン語がローマ字読みに近いとは言え、「日本語の発音」という先入観があるおかげで、ローマ字で発音通りに日本語を書いて教えても上手く発音できない・・・。

なので、「(食事などを)ゆっくり召し上がれ」を意味するBuen provecho!(ブエン・プロベッチョ)を「メシアガレ」と教えるときには、ローマ字でMesiagareよりもスペイン語で使われるMe sí haga leという単語を繋げて教えた方が発音が綺麗でした。

ぼくは日本語教師ではないので、ひらがなや文法を教えるワケではないので、彼ら・彼女らの「日本語を喋ってみたい」を優先した結果でした。それをキッカケにひらがなや文法まで興味が広がれば、それはそれでいいことだし。

まずは、笑おう。

同様の方法で、チョコララでお昼ご飯を食べてたとき、ルカが「Bueno(美味しい)」は日本語でどう言うの?」と聞いてきました。

これまたOisiiではなく、Hoy sí。スペイン語でHoy(オイ。スペイン語でHは発音しません)は「今日」、sí(シ)は「はい」。

これを聞いたルカは一発で「オイ・シー!」を覚え、続けて「じゃあ、美味しくないはマニャーナ・ノー!ね」と返してくる。マニャーナ(Mañana)は明日の意味。

やー、コレには笑った。ドミニカ人の面目躍如というか何というか。こういうのがあるから楽しいんですよ。

ともすると文化が違い過ぎてイライラしがちの活動ですが、怒ってばっかりいてもしょうがない。10笑って初めて1の注意が言える気がします。伝えるべき本質はブレず、表現の手を変え品を変え、ごみを減らしていくことが大切だな、と。

音楽の話とジョランダの「DO!DO!DO!」で知念里奈のDO DO FOR MEを思い出しました。懐かしい。。。