栄養士隊員直伝!コツは「美味く作る」
以前、チョコララの「ホットチョコレートの素」を使ったパンケーキ講習会で栄養士隊員に上手く伝えるコツを聞いたら「美味しく作ること」って。ふ、深い!
この質問、元々はチョコララのマーケティングのためのもので、とにかくドミニカの各地には「コレ!」って食べ物がない。どこに行っても似たような料理ばっかり。ならばチョコララの製品を使ってアルタミラ名物を創ろう!というのが目的でした。
それから数か月後、ふとfacebookで流れてきた味の素のCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の記事。
それまでアミノ酸の栄養改善効果については世界各地で10年以上臨床データを集めていましたがビジネス化には至っていませんでした。ガーナの場合、事業拠点はありませんでしたが、ガーナ大学の先生から栄養食品ビジネスの共同開発を提案され、それに可能性を感じたところから始まりました。最終的には製品コンセプトを決めるのにそこから1年かかりましたが、ビジネスプランに共感していただけるパートナーがガーナ政府のみならず日本政府(JICA)、アメリカ(USAID)、国連機関(WFP)、PLANやCAREのような国際NGOなどに拡大し、国際的なソーシャルビジネスになりつつあります
―― 味の素の「ASV」――テーブルクロス城宝薫のCSV企業訪問(後) / AlternasS
この記事をキッカケに、隊員と企業の連携について栄養士隊員に質問してみました。この質問の前段に、栄養士隊員が開いた市場(いちば)でのデモンストレーションが、いろんな人に支えられて実現できた!というエピソードがあります。
現地の人はあるもので生きようとしています
――おつかれ~。そっちには栄養改善系のJICAプロジェクトってある?
おつかれ様です~。記事、読みました。味の素が世界の栄養改善!すごく興味深いですね。ただ、こっちには栄養改善に限定したJICAプロジェクトはないです。いま私が関わっているのは母子保健のプロジェクトですが、この中に栄養改善も一応重要視されている程度ですね。
――前に市場でデモンストレーションした話あったやん?職種関係なく、隊員の活動ってマーケティングの視点が必要になってくると思うんやけど。
マーケティング、経済系の話にとても疎いので、何からどう意見を述べていいのか分かりませんが(^^;;笑
うむむ…なるほど。 私の個人的な意見ですが、もちろん活動は知ってもらってナンボというところはあります。ただ、「現地の人たちの実利=金銭面での儲け」という位置づけでしたら、すみません、私はそこまで考えて活動してないです(笑)
――ほうほう(笑) 栄養士隊員としての活動で、何かマーケティングに関連しそうなエピソードってある?
前に巡回に行った田舎のコミュニティは、栄養状態があまり良くないという問題が住民から挙げられていました。そこは土地・気候的に野菜が育たない。けど、キヌアの栽培は行っています。そこで住民は「野菜が育たないのは仕方ないから週1回は必ずキヌアを食べて不足した栄養を摂ろう」と目標を立てました。
マーケティングまで考えている人は、「じゃぁキヌアで特産品を作って、現地の人の収入源にして、そのお金でもっと栄養価の高いものを…」という活動をするのかもしれませんが(マーケティングってこういうことですよね?笑)私にはそんな力量はありません。
よって、私は「現地の人の実利=(お金儲けでなく)生涯健康であること」と位置付けてます(というか、今気付きました。笑)。だから、日本だったら小学生でも知っているような3色食品群を自分でも飽きるくらい、いろんなところで教えて基礎を叩き込んでいます。
活動的には地味なものだし、確かに金銭の実利はないので、聞き手の興味を引き出すのは難しいし、単発でも終わってしまうのが今の悩みではありますが、いつかどこかで誰かが思い出してくれたり、これをきっかけに食に興味をもってくれたら、という想いです。
しかし、生涯健康であることが実利であるという考え方は、「その場が良ければ全て良し」な途上国の人には定着しないのかな?という疑問もあります。日本のように生涯健康で長生きしたい!という人よりも、今好きなものを食べたい、長生きなんてしなくていいと思ってる人のほうが多いかなと。そんな人たちに食事の大切さを伝えることが一番難しいですね・・・。
――企業との連携については?
企業とのタッグは悪くはないと思います。もちろん自分の活動を知ってもらう面ではいいと思いますが、企業も自分たちの利益を上げることに少なからず重きを置いています。味の素さんの取り組みはすごく素晴らしいと思いますが、たとえば商品を売り込むために、現地の食文化が損なわれてしまうようでは身も蓋もないです。先ほどあげたコミュニティのように、現地の人はあるもので生きようとしています。
もちろん、本当に必要な地域への物資の支援や、物でなく制度の提供などは賛成ですが、ところかまわず日本はすごいんだぞ〜!と言わんばかりの姿勢はちょっと引いちゃうかもです。途上国から見習うこともたくさんあるので。
とまぁ、こんな感じです。すみません、脈絡のない感じになってしまいました。
余談ですが、今回ちょっと厳しめなのは、味の素(グルタミン酸)が化学調味料だからです。日本人が旨み成分で健康を維持できていた、というのは、昔は昆布やしいたけからダシをとり、旨み成分を摂っていたからです。それを世界の人々の健康のために、化学調味料で旨み成分を広めよう、というのはちょっと矛盾してるかな、と(笑)
先ほども言ったように、わざわざ化学調味料をとらなくても、現地は現地の健康維持方法がある、ということは忘れてはいけないことかな、と思います。
このやりとりをしていて、宮﨑くんの「ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました。」を思い出した。
立場が変われば見え方も変わる。「幸せ」とは何か?物事は多面的だ――と。
賄わず、賄わす。
活動を知ってもらうためにはマーケティングの視点を・・・って話から、ずいぶん根っこの方まで深掘りできたインタビューでした。企業とのタッグはぼくが進めようとしているフェアトレードでも出てくる話だろうし、襟を正さねば。国際協力って何よ?
これって環境教育でも同じことが言えて、
ボランティア:ごみを分別して捨てましょう!
現地住民:ごみ処理場でごみを拾って生活してる人の仕事がなくなるよ?
ボランティア:えー!
ってのが定番のネタ。
結局、現地の人にとって、どういった活動がイチバン共通の利益を生み出せるか?ってことになってきますが、そんなの関係者の数だけ損得があるからボランティア1人で解決なんてできません!ただ、目の前にいる自分の大切な人を幸せにすることから始めるしかないのではないか?と思うようになってきてます。顔の見えない誰かのことなんか分からないし、雑な言い方すると「知ったことか!」と。ぼくが直接関わった人のツテのツテくらいで幸せになってください。
あ!誰か、辞書持ってきて、辞書。
まかな・う〔まかなふ〕【賄う】
1 費用・人手などを用意する。ととのえる。「寄付で費用を―・う」
2 食事をととのえて出す。「夕食を―・う」
3 事を処理する。切り盛りする。「親からの仕送りで―・う」
4 とりはからう。とりしきる。
出典:デジタル大辞泉
そっかー、お金(「貝」)が有るから賄うなのかーと思って調べたら、もう1つ読みがあった。
まい‐な・う〔まひなふ〕【▽賄ふ/▽賂ふ】
1 神に捧げ物をする。
「是らの物を以て―・ひ給へ」〈仲哀紀〉
2 贈り物をする。また、賄賂 (わいろ) を贈る。
出典:デジタル大辞泉
現地人に何か物を渡すだけなのか、それとも現地人にとりしきらせるのか。栄養士隊員が言うように現地に(既に)あるものでどうにかして(とりしきって)もらうのがイチバンなんでしょうね。
ちなみにお好み焼きは栄養士隊員のアドバイスや考えを取り入れて、完全ドミニカンテイストに。アルタミラで調達できるものだけで作りました。味もドミニカ人好みを意識して。これはインスタントラーメンの海外展開でも指摘されてることですね。
気をつけなきゃいけないのは、現地の食文化が損なわれないようにすることだよね?→栄養士隊員
即席麺が裾野の広いBOPに日常食、食文化として浸透するという特性が作り上げていると言えよう。先に述べたように、マルちゃんはメキシコで伝統料理衰退の危惧を呼ぶほどにまで浸透している。ネスレグループも、実に30年をかけて都市部だけでなく農村部も開拓し、その食文化を根付かせた。もともと日本をはじめ一部の国でしか食されていなかった即席麺の海外展開では、一商品としてというよりは即席麺というカテゴリーや食文化そのものを普及させる必要がある。
―― グローカライズで世界に羽ばたく即席麺 (2/2)
「マーケティング、経済系の話にとても疎いので、何からどう意見を述べていいのか分かりませんが(^^;;笑」とか言ってたけど、ちゃんとマーケティングのマイナス面が見えてる・・・。やっぱり純粋にその職種で活動している隊員はスゴい。
最後に、嬉しい言葉を貰いました。
私の個人的な主観なので、参考になるかは分かりませんが、こういう意見の交換はすごく勉強になるし、自分の頭の整理にもなります。逆にありがとうございました。
いや、こちらこそ、逆の逆、つまり素直にありがとう!
ちなみにドミニカでは味の素は一般名詞らしいです。