2015年12月11日金曜日

【Diario de CHOCO LALA】チョコでちゅん

スペイン語に「SH」の発音がないので、SHUNはチュンと呼ばれます。

私を日本に連れてって!

チョコララのでの作業もだいぶ板についてきて、その傍ら雑談にも花が咲きます。恋人の話から来週のお昼ご飯は何がいいか?とか、色々と世話を焼いてくれてありがたい限りw

で、ちょくちょく言われてきたのが「日本に連れてって」というやつ。日本に興味を持ってくれるのは嬉しいことですが、「飛行機代も宿泊代も高いよー」と答えてました。みんな意気消沈

ですが、昨日は初めて「できれば、連れていってあげたい」と答えました。

なぜか。

そう、今後の活動はフェアトレードに舵を切るからです。



フェアトレードとはなんぞ?

よく聞くフェアトレードという言葉。こんなマーク見たことありません?

FAIRTRADE JAPAN

フェアトレードは、対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目指す貿易パートナーシップである。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者に対し、より良い貿易条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより、フェアトレードは持続可能な発展に貢献する。フェアトレード団体は(消費者に支持されることによって)、生産者の支援、啓発活動、および従来の国際貿易のルールと慣行を変える運動に積極的に取り組む事を約束する。

―― フェアトレードの定義 / FAIRTRADE JAPANホームページより

日本でもドミニカのカカオを使ったフェアトレード商品の実績はあります。

ただ、ぼくが目指すのはそっちじゃありません。

こっち。

Rainforest Alliance Certified Seal
私たちは、未来に目を向けている農業、林業、観光業の事業家たちと協力して、自然資源を保護し、森林共同体の長期的な経済安定性をもたらす活動を行っています。

―― 私たちの戦略 / レインフォレスト・アライアンスHPより

何が違うのか?

レインフォレスト・アライアンス認証と「フェアトレード認定」の違いは何ですか?

レインフォレスト・アライアンスとフェアトレードは、どちらも発展途上国の農家や農業労働者の生活向上に向けて努力を重ねている国際組織です。レインフォレスト・アライアンス認証マークは、コーヒー、バナナ、生花、植物など様々な農産物のほか、材木、紙、その他の森林資源製品に付けられています。一方、フェアトレード認定ラベルは、お茶、砂糖、コーヒー、バニラをはじめ多岐にわたる農産物に付けられています。レインフォレスト・アライアンスとフェアトレードは、似たようなミッションと目標を掲げていますが、活動の重点項目や戦略においては違いがあります詳細を見る

おいおい、じゃあ、フェアトレードじゃないじゃないか!という声が聞こえてきそうですが、理由は簡単で、別にどちらの認証・認定も目指してはいないから。

は?

いや、認証を取れるなら取ったでいいと思うんですよ。でも、それは手段であって目的ではない。活動のスタンスとしてどっちを選ぶかだけです。根っこは対話と透明性、敬意

ぼくは造船所で働いていたとき、現場がISO関連の資料をつくる大変さも見てきました。ぶっちゃけ“勤労な”日本人でも面倒くさい。それをドミニカでも制度こそ違え認証・認定の取得と維持を目的にすると、とてもじゃないけど取り組めない。

実際にドミニカでもレインフォレスト・アライアンスの認証を取得しているメーカーはありますが、ステージが違います。

これは何もアルタミラの人たちを侮っているとかではなくて、大きな目標は掲げるけど、目的(収入源の深化と多様化)を第一にスモールステップを踏んでいこう、という意味です。ぼくは、せっかくできた日本とアルタミラの関係が継続する仕組みづくりの最初の一歩を提示して、小規模な取り引きから始めることを目標とします。その後の展開は後任隊員に託したい。収入源の深化と多様化の必要性は、この1年で身に染みるほど感じてきました。

フェアトレード自体は派遣前からしたいと思っていました。ただ、活動の中にフェアトレードを据えなかったのは、まあ、何と言うか根底にはこの記事が提示する考え方があります。一応、ごみ処理系の教育で呼ばれた隊員ですし。

企業のガチなフェアトレードは、サプライチェーン・マネジメントとかCSR調達・グリーン調達などの領域に入るわけですが、ちょっとキラキラ女性に「フェアトレードが専門とおっしゃいますが、日本のサプライチェーン・マネジメントの課題ってなんだと思いますか?」なんて質問した日には、「すみなせん、サプライチェーン・マネジメントって何ですか?」という回答が返ってくるのです…あんた、アホか。

ファッション(流行)で、そういう言葉を使うなということでもないし、個人の啓発がメインだからいいけど、エビデンスとロジックがないフェアトレード論を世界の正義であるみたいに語られると、何とも言えない気持ちになるのは僕だけではないはず。

エシカル・環境問題・フェアトレード、と畳み掛けるようにプレゼンされたら、もうファッション決定です。差別ではなく、こういうちょっとエシカル学んじゃいました系な若い女性は本当に多い。最近はそういう集まりに行かないから会わなくなったけどね。

―― フェアトレードの定義とは? フェアトレードが自己矛盾なわけ / CSRのその先へ

日本で見聞きしたフェアトレードの知識と経験だけで個人としてではなくJICAボランティアとしてフェアトレードに取り組むのは、何か違う気がしてたんです。実際、記者や造船所勤務時代にも、日本のサプライチェーン・マネジメントの課題については感じてきましたし。それはドミニカでも同じ。

国内の地元産品を集めたシリーズを展開していますが、フォローアップがあるのかないのか。

フォローアップがあれば納期の苦労なども減っていくはずですが、どうもそうじゃないみたい。

過去記事:途上国にもあるビジネスの光と影

なので、この1年はとにかくアルタミラの人たちが求めるごみ処理系の取り組みに心割いてきたつもり。でも、現実はそれどころじゃない。とにかく実入りに直結する活動じゃないと人は動かない。でもエコツーリズムを謳う以上、環境保護は避けて通れない。

というのが理由です。

CHOCO de SHUN

で、タイトルにある「チョコでちゅん」ですが、チョコララのおばちゃんに「アルタミラのチョコを『CHOCO de SHUN』として日本で売りなさい」と言われたんです。ああ、ありがたい。

でも、ぼくがキッカケをつくるにしても、商品や関係性はみんなのものだから商品名なりブランド名はみんなで考えたいですね。で、いつか日本で一緒にプロモーション活動したい。

フェアトレードについても、まだまだ学ばなければならないことがありますので、残り1年もがんばっていきますよ!皆さま、アドバイスやご批判、ご協力よろしくお願いします。

フェアトレードまわりのことについてコンパクトにまとまってる本もあります。こっち方面のことを俯瞰できる良書なので、ぜひご一読を。ぼくもドミニカに持ってきてます。

マーケティング×社会に良いこと。人気ブランドのソーシャルな取り組みを多数紹介!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

野村/尚克

Causebrand Lab.代表。専門はソーシャルプロデュース、コーズ・リレイテッド・マーケティング。「コーズブランド/寄付つき商品」という概念を日本で初めて提唱し、企業・NPO・行政・消費者・教育機関など、分野の違う組織の協働をプロデュース。これまでに「1億人のバレンタインプロジェクト」「ありがとうproject」「aCtion!×tohoku」「トリプルボランティア」などをプロデュースし、東日本大震災発生以降は被災地にて、企業の支援活動などを手がけている。宮城大学非常勤講師


中島/佳織

特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)事務局長。大学卒業後、化学原料メーカー、国際協力NGO、自動車メーカー等で勤務。タイでのコーヒー生産者支援プロジェクト立上げ・運営やケニアでの勤務経験を持つ。学生時代から途上国の貧困問題と向き合う中で、「寄付」や「援助」ではなく、貧困を生みだす歪んだ貿易構造から変えていこうとするフェアトレードに賛同し、2007年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)