まさかの書類不備
ぼくが活動に賛同している特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会から、1通のメールが。
日本ファンドレイジング協会は、2016年3月14日をもって、仮認定NPO法人の認定期間が終了いたします。
これまで、所管である東京都へ認定申請を行い、認定NPO法人への移行を図るべく取り組んでまいりましたが、 認定申請に関する法定書類の一部に不備があることが判明し、仮認定の移行期間内での認定が得られませんでした。
(中略)
当法人では、2016年度に改めて認定申請を行い、2017年3月を目処に認定NPO法人へ移行する予定ですので、認定取得の際には、改めてご報告いたします。
―― 仮認定NPO法人の認定期間終了について / 日本ファンドレイジング協会HPより
寄付文化の醸成を目指す組織が、よりにもよって書類不備で認定NPOへの移行を逃すなんて情けないけしからん!などと喝を飛ばしそうな人が日曜の朝のテレビに出てきそうなので、ちょっと書いときます。
遠のいた未来。
今回の書類不備の原因は分かりませんが、1つ言えるのはシステムに問題がある、ということです。
NPOの書類、めちゃくちゃ面倒くさいんですよ、ホント。前の職場のNPO法人えひめリソースセンターで一緒に仕事した同僚にしろ県の担当者さんにしろ、すごく優秀な方たちばかりなんですが、そんな彼ら・彼女らも手を焼いてました(みなさま、本当にお世話になりました・・・)。
たとえば会計処理にしても、「この日のこのタスクはA事業、こっちはB事業」など活動規模の割に煩雑になってしまう。これは一般的に言われているNPOの5財源①会費、②寄付、③事業収入、④補助・助成、⑤受託のうちの2つ、補助・助成金、受託事業が絡んでいたからで、この2つは調達効率が高いものの、自由度は低い。A事業では移動費としての出費は認められるけど、B事業では認められない、とかね。(だから、自由度の高い寄付の存在が重要になってくるんです。)
参考:資金源、どんなものがある? / NPO法人市民セクターよこはまHP
で、これを一生懸命エクセルに手打ちしたりしてたワケです。そら間違うわ。ケースは違いますが、日本ファンドレイジング協会が陥った書類不備の罠も、理解できなくもないのです。寄付月間の盛り上がりとかあるから、行政側としても十分に協力的だったと想像できますし。
会計処理にしろ書類申請にしろ、全国共通して分かりやすく使いやすいシステムがNPO業界に不足しているという現状が問題です。かくして現場の人たちの貴重な時間は奪われ、みんなの未来が遠のいていく。―― これを解決するのがシステム(自動化)の役割だと思うのです。
先日、日経産業新聞に興味深い記事が載っていたので引用します。
人間が行っていた業務や職業が機械に取って代わられる可能性もある。英国のオックスフォード大学の論文で示された「あと10~20年でなくなる職業」によると、「正確性を要求される職業」「単純作業・マニュアル化しやすい職業」「システム化することで計算、算出できる職業」はなくなる可能性が高い。過去の判例を持ってくるなど、訴訟に関連した情報を抽出することはAIが得意としており、法務関係の職業も機械化が進むと思われる。
それでも人間でしかできないタイプの仕事が3つある。それは(1)無から有を創り出す「クリエイティブ系の仕事」(2)人々をまとめて1つのゴールに向かってチームとしてプロジェクトを進める「リーダーシップ・マネジメント系の仕事」(3)新規事業を考えたり、会社を起こしたりして社会に新しい価値を提供する「起業家系の仕事」――である。
―― ロボットに勝る人材 日本の学校では育ちにくい / ブランドン・ヒル(米ビートラックスCEO)
そして、記事では今の日本の学校教育では、この3つの仕事をするための能力を育成する内容が欠如していると指摘しています。
だが、それがいい。
じゃあ、この3つの能力を育成するのに何か良い手はないか?との問いにぼくが答えるなら、1つにファンドレイジング協会の「寄付の教室」を挙げます。
「寄付の教室」とは?
私たちは、大きな負担なく、どの学校でも実施可能な「寄付の教室」という体験学習プログラムを開発し、70教室以上で提供してきました。子どもたちが社会課題を知り、自らの価値観で社会的な活動を応援することの楽しさ、そして様々な価値観や考え方の違いを認識し、互いに助け合い自分たちがベストだと考える応援方法を選択していくことの難しさなどを、学ぶ機会を提供しています。
―― 日本ファンドレイジング協会HPより
社会課題は誰も効果的な解決策を提示できなかったから課題となってるワケで、社会的な活動は、それこそ無から有を創り出す「クリエイティブ系の仕事」の1つだし、価値観や考え方の違いを認識し自分たちのベストを選択するのは「リーダーシップ・マネジメント系の仕事」を体験できる。
こんかいの書類不備、自動化されていない作業も不幸の一因だと思っています。これだって社会課題。東京都の認定に必要な資料を一通り見ましたが、目まいがした。先生、保健室行っていいですか?
だから、それをきちんと報告してくれる協会を責める気もないし、これを“良い見本”にして、これからも進んでいってほしい。応援してます!
―― 欲しい未来へ、寄付を贈ろう。「12月は寄付月間」