先日、ダハボンに行ったときの帰り道でのできごと。
母と2人の幼子
ダハボンは隣国・ハイチ共和国との国境にある町です。川を挟んでゲートがあり、軍の警備隊も配属されています。ハイチは世界最貧国のひとつで、ドミニカへの不法入国者が多いんですね。
ダハボンからの帰りのバスでは、何ケ所も検問所を通過しました。ぼくも2個目の検問所で身分証明書の提示を求められました。パスポートのコピーとドミニカ共和国外務省発行の身分証明書を渡すと、ハイチ人と違い「グラシアス(ありがとう)」とまで言われる。身分が違えば態度も変わるというのが実感できました。
さらに検問所を2つほど通過したときのこと。
バスの一番後ろの席から女性が呼ばれ身分証明書の提示を求められて車外に。ものの1分も経たないうちに女性が社内に戻ってきたと思ったら、幼い娘2人と荷物を持って下車していきました。
ああ、不法侵入だったんだなあ。と思って外に目をやると、女性は涙を流していました。騒ぎ立てるでもなく、ただ静かに泣いていた。荷物と言えば飛行機の機内持ち込みサイズのソフトキャリーケースと小さなビニール袋2つ。2人の子どもは事態が分かっていない様子で、無邪気に笑っていました。彼女たちはどういう経緯と想いで、あのバスに乗っていたのか。
ドミニカではハイチ人労働者が経済成長を下支えしていると言われています。果たして、そのうちの何割が正規の手順を踏んでドミニカに来ているのでしょうか。途上国同士の間でも労働の搾取はあります。
子どもにも移民ついて実感を
隣国との問題は日本にも存在しますが、島国であるが故に国境を意識しにくいですよね。空港でのイミグレーションくらい。また、移民や難民に関する政策が遅れている日本では、そのことについて学ぶ機会が少ないように思えます。教科書に載っていたとしても、それは遠いどこかの国のことで、自分たちのことじゃなかった。今はどうなんでしょう?
造船所で働いていたときも、フィリピン人やブラジル人は自分たちだけで固まり、地域社会に溶け込んでいるとは言えなかった気もします。それは外国人と日本人がお互いを「知らない」から距離を取るわけで。
協力隊OB・OGは出前講座で学校に行く機会がありますが、もし自分が講座に協力するとしたら、その町に暮らす外国人と一緒に教室に行きたいなあ、と思います。異国の地で実際に苦労したこととか、その場で共有して子どもたちに聞いてもらうことが移民や難民について実感してもらう道だろうと。
日本人が外国を知れば、外国人も日本を知ってくれるでしょう。ドミニカ人の中では日本は中国の一部だったりしますからね。。。