2015年10月24日土曜日

JICAボランティアをPPMで括ってみたら、目指すべきは「負け犬」だった。


人生には色々なステージがあるわけで。


ぼくは環境教育職種です

エコツーリズムを推進するアルタミラ隊員として、3ヵ月に1度ある帰国隊員の報告会でチョコララの製品を売っています。

なので、たまに「観光職種?」とか「マーケティング職種?」とか言われる。

これ、実は嬉しい

なぜなら、お金になりにくり環境教育活動をしている中で、地元経済に貢献できている1つの現れだから。

ほかにも鉤針編み製品とかあるけど、それは売りません。

理由は他の隊員の任地製品とバッティングしていたこともありますが、何よりクオリティ面でまだまだ。

今、改善提案中です。



ドミニカ人は「今」を生きる
環境教育で大切なことの1つに「長期的な視点」があります。

数世代先のことを考える。

ぼくの好きなアーティストの1つ、ジャミロクワイの名称はアメリカン・インディアンのイロコイ族にちなんでいます。

そのイロコイ族に伝わる言葉が

どんなことも七世代先まで考えて決めなければならない

というもの。

わー、ドミニカ人、ムリそう・・・。


なので、今、この瞬間にお金に繋がることも考えなければと思っています。

人はパンのみに生くるにあらず。

しかして、愛のみに生くるにもあらず。

今、自分の目に映る家族や友を愛し、今日を謳歌するスタイルこそドミニカ人の生き様なのです。


「今、そこにある危機」だけが問題か

そんな風にドミニカンスタイルとはなかなか相性の悪そうな環境教育で四苦八苦していますが、得られるものもあります。

それが、他職種への理解

たとえばエコツーリズムを振興する上でマーケティングの知識が必要な場合、マーケティング隊員にアドバイスを求めます。

農業隊員が居たら、カカオ畑の改良についても聞くかもしれません。

環境教育隊員が1人でできることなんて、限りがあります。

そもそも自然なんて人間が暮らしていく限り大なり小なり影響を与え合うわけで、生活のどこか一部を切り取って「環境教育」をするなんてナンセンスなんですよ。

極論、「環境教育」を職種として独立させる意味なんてありません。

青年海外協力隊のボランティアとして「環境教育」をやろうと思えば他職種の人でもできます。

むしろ、他職種の活動の中で組み合わせていく方が良いとも思っています。

なので、ぼくは専門職種のひとが羨ましい

じゃあ、環境教育職種としてぼくが何に依って立つかと言うと、さっきも触れた「長期的な視点」です。

人間は考える、もっと言えば妄想する生き物です。

今日までの人間の歴史で世界中の偉い人たちが、素晴らしい発明や偉大な発見を積み重ねてきたおかげで、現代の技術や発展が出来上がった。

でも、その一方で貧困にあえぐ国々がある。

1つの分野を専門的に追ってきたからこそ出来る発明や発見があったでしょう。

でも、部分最適の集合が全体最適を成すかと言えばそうでもない

だから、他の職種の活動を補完し得る職種として、専門職種でない環境教育職種というものがあってもいいと思っています。

専門職種が「今、この瞬間に困っている人々」に対して働きかける職種であるなら、環境教育は「この先困るかもしれない人々」を増やさない職種。

存在理由が異なるのですよ。


青年海外協力隊の花形「コミュニティ開発」

さて、今回の記事を書くキッカケになったのが、青年海外協力隊OBのブログ。

最初に断っておきたいのは彼のブログはよく出来ていて参考になるし、面識はないものの彼のことは好きです。会ってみたいな。

そのブログの中で1つ「おや?」と思う記事があったので、一部引用させて貰いましょう。


ぼくがコミュニティ開発(村落開発普及員)を不要だと思う理由は、以下の三点に集約される。
1.専門性がないので、出来ることがない。
2.代わりに他の職種を増やすことが出来る。
3.他の職種でもコミュニティ開発として活動できる。
(中略)
国際協力の一端を担っているボランティアに求められる資質とは、広い視野と深い専門性の両立である。
すでに専門性を身につけている者は、広い視野を身につける必要があるし、専門性がない者は専門性を磨かなくてはいけない。
広い視野と深い専門性の両方を持った者こそが、本当に途上国の人の役に立てると思う。
ボランティアが目指すべきは、広い視野と深い専門性を持ったボランティアである。
繰り返し述べてきたように、コミュニティ開発や村落開発普及員の人は、専門性が足りない。
しかし、他の専門性が高い職種にも問題はある。
それは、広い視野が足りないことだ。


なるほど、良いこと言う。

特に職種に固執する隊員に向けた『「お前はJICA専門家にでもなったつもりか!?」と言いたい。』というツッコミは素晴らしい

でも、ぼくはコミュ開職種こそ必要だと思うんですよ。

なぜか?

それは、彼ら・彼女らがまさにスターだからです。

この記事の中で使われていた言葉「青年海外協力隊の花形職種」で思い出したのが、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント。

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
ボストンコンサルティンググループが1970年代に提唱したマネジメント手法です。事業や製品のライフサイクルを、問題児、花形、金のなる木、負け犬の4つのフレームで立ち位置を確認する経営戦略分析手法。当時のGEが日本製品に対処するために活用したことで知られています。
図表の縦軸は市場成長率、横軸は相対的市場占有率を引き、事業、製品、サービスなどが4つのフレームのどこに位置するかを確認し、ライフサイクルを考察します。下図は製品の経年変化を描いたものです。事業分析には欠かせないポートフォリオです。

PPM図表


これを青年海外協力隊の職種に応用すると、どうなるか?

こう。

JICAボランティア職種ポートフォリオ

社会的課題の成長率が高い割に、まだまだ人々が意識しないのが環境教育。

課題の成長率も高く、人々のニーズが顕在化しているのがコミュニティ開発。

成長率が低い(課題が慢性化している)上に、人々が必要としているのが専門職種。

課題の成長率・意識に占める割合がとも高いということは、課題の成長スピードに対してに現地の人々が手を打ちあぐねている、ということではないだろうか。

ここにインパクトを与えられるのが、コミュ開職種の意義だと思います。

特に社会人経験者でコミュ開隊員になった人

これが大事。

JIBURi.comの彼も書いているように、コミュ開隊員の多くは専門的な技能を持ってない代わりに、元営業や事務職等の出身で高いコミュニケーション能力を持ち、任地の課題に柔軟に対応できる柔軟性がウリ。

いやいや。

彼ら・彼女らは日本で働いて、お給料貰ってたのですよ。

お金を貰う=プロ

自分の仕事を全うしながら、自分の仕事の専門性を身に付けていたのですよ。

そして、その専門性をコアに仕事をしながら、他の社員と同じ様に社内の様々な問題とも向き合ってきたのです。

確かに職種としての専門性はないかもしれませんが、専門的な技能は持っています。


日本に足りないのはコミュ開OVだ

青年海外協力隊の目的として、

(1)開発途上国の発展と復興に貢献すること

(2)途上国との友好親善、相互理解を促進すること

(3)ボランティア経験の社会還元

―― の3つが掲げられています。

社会人経験のあるコミュ開隊員の途上国での経験は、特に3つめの目的にとって貴重。

日本の組織の多くが抱える成長スピードが速く、意識しているものの解決の決め手に欠ける様々な課題

これに立ち向かっていくのがコミュ開隊員の大義だと。

社会人経験者よ、コミュニティ開発職種を目指そう!


全ての職種は繋がっている

また、引用したPPMの図中の売上と粗利の関係は、隊員の活動と効果の関係にも当てはまるかな、と。

そして引用図中で重要なのが、「金のなる木の間に次なる問題児を創る」という点。

これは専門職種が取り組む課題の中にも将来、環境教育として取り組むべき課題が孕まれている、と。

だから、環境教育職種とは仲良くしてくださいw

課題が成長せず、人々も意識しなくなる、つまり課題が解決して「負け犬」になった状態を目指したいものです

JICAボランティア2015年度秋募集は11月2日までですよ!