3年ぶりに参加した「ファンドレイジング日本2017」のテーマは「インパクト×ファンドレイジングで、未来が動き出す」。
日本だけでなく、世界からもトップクラスの登壇者が「寄付プログラム」や「支援者コミュニケーション」「事業戦略」「マーケティング」「社会的投資・融資/評価」といったテーマで魅力的なセッションを開いてくれた2日間でした。
はじめよう!インパクト×ファンドレイジング入門~FRJ2017の学びを10倍高めるための基礎を学ぼう~
誰かのプロジェクトを自ら「ファンドレイザー」として応援できるファンドレイジングサイト
JAPANGIVING の事務局次長である高橋麻子さんによるセッション。「ファンドレイジングとは」「ファンドレイザーの役割」など、ポイントをコンパクトにまとめて頂いて、学び直す良い機会になりました。
特にファンドレイザーの役割として、支援者に対して寄付などの「何かを貰う」のではなく、「参加の場や達成感を提供する」という視点は改めて重要だと実感。印象的だったのは「全ての人に寄付をお願いすることが大切。なぜなら、全ての人に寄付をする権利があるからです」という言葉。これは、先日読んだ「ソウル・オブ・マネー」でリン・テゥイストが自ら体験した50ドルと5万ドルの寄付者たちとのエピソードを思い出しました。
リン・トゥイスト ヒカルランド 2013-05-16
セッションの最後には、国際協力分野でもおなじみの
PDM 等のロジックモデルの紹介もあり、これから香川県で国際協力の仕事をしながらNPO活動の応援もしていく身としては、仕事にも良い影響を得られそうだなと、これからの活動にワクワクしたり。
インパクトの最大化につながる評価とは何か~財源と事業を成長させる、本当に使える評価のはじめ方~
1日目午後イチバンのセッションは株式会社ファンドレックス コンサルタント newdea Japan 統括ディレクターの平尾千絵さんのお話。
newdeaは協力隊現役時代にブログで取り上げたこともある ので、僕の中で「待ってました感」がハンパなかった。
ロジックモデルをつくるときに、アウトプット(結果)とアウトカム(成果)をしっかり分けておくと、PDCAサイクルを回して改善していくときに、何に手をつければ良いか分かりやすくなる という勘所について教えて頂いたり、
評価は成果のモニタリングではなく、効果の把握(モニタリング)+価値判断である という心得、
他団体・他プログラムとの差別化は寄付者にとって「より良い選択」を提供することになる といったような実践的な言葉が印象的でした。
参加者の方々のレベルも高くて、最後の質疑応答だけでも一見の価値がある濃ゆい時間でした(笑)
社会貢献教育オープンシンポジウム(1部)日本社会で社会貢献教育の流れを作り出していくためには ・基調講演:米国ファンドレイジング協会AFPのYouth in Philanthropy拡大のチャレンジ
Association Fundraising Professionals のValerie Mellen Pletcher氏によると、AFPが全米に持つ多くのチャプターでは、高校生がTHE AFP HIGH SCHOOL CURRICULUMで
支部の仕事を通じて 多くのことを
体験しながら学ぶ プロセスが大切とのこと。支部が持つリソースを、どのようにして高校生など次世代とシェアしながら(
パートナーシップを築きながら )、拡大・成長させていくか、その方法について。
SNSなどデジタルテクノロジーはとにかく積極的に試している ということでした。「2060年の社会を、どうデザインしたいか?」「地域によって違いがあっていい」の言葉に勇気を貰ったセッション。
VIDEO
社会貢献教育オープンシンポジウム(2部)社会貢献教育の最新事例を一挙紹介!
じゃあ、実際に日本では今、どういう流れで社会貢献教育を根付かせようとしているか?その具体例として東京学芸大学附属国際中等教育学校のボランティア部に所属する6年生(18歳)による事例発表や現役の学校教諭の方のお話アリで、前から考えてたアイデアに名前が付きました。その名もジャイカスクール!(笑)。
JICAには青年海外協力隊OBOGが学校に行って活動を紹介したりする出前講座という制度 があるんですが、単発なんですよね。これを
総合的な学習の時間を使った通年プログラムに昇華させたいな と。ユネスコスクールがあるなら、ジャイカスクールがあったっていいじゃないか!国際協力推進員さんに相談してみよう。
発表者であるボランティア部では、部活の中で
実際にどこの団体に寄付するか?という選択を熟議に熟議を重ねて選んだ というだけあって、会場での質疑応答が大人顔負けというか、大人よりすごかった。。。
やっぱり、若い力は大切ですよ。
企業パートナーシップ戦略大公開!~企業連携でインパクトを生み出す組織になる~
2日目最初のセッションは公益財団法人
ケア・インターナショナル ジャパン マーケティング部長の高木美代子さんとデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 CSR・SDGs推進室 シニアマネジャーである小國泰弘さんによる、CSRやCSVなどを織り交ぜたお話。
文化の異なるNPOセクターと企業セクターが手を取り合うには、お互いが何を求めているか明確にすることが大切。特に今は企業がCSVに興味を持っているトレンドなので、攻め時だと(笑)
ただし、CSRからCSVにシフトしたワケではなくて、両輪として取り組む必要があることは理解しておくべきだし、そこの見極めが協働の成否のカギを握るとのこと。
あと、NPOが同一業界の複数の企業とパートナーシップを結んで事業展開するのはアリかナシか?という非常に実務的な質問には「企業によりけりなので、担当の方にぶっちゃけ聞いてみるのがいい」という明快なお答えに、参加者の方々も納得の空気。
今後はSDGsも外せない・・・というか協働を実現していくための文脈の主流になってくるとのことで、NPO/企業、双方の担当の方々と勉強会開いてもいいですね。
ベネッセこども基金×日本ファンドレイジング協会・学校向け教育プログラム「ソーシャルリーダーシッププログラム」体験セッション
生徒が街頭募金してる風景ってあるじゃないですか。実際に街頭に立つ前に、なんらかの社会貢献教育を受けている生徒の割合って7.2%だそうで、初めての街頭募金が良い経験になるか否かで、その後の社会貢献との関わり方も変わってくる…というので、学校プログラムを提供しようというのが「ソーシャルリーダーシッププログラム」。これのお披露目というかプロトタイプを日本で初めて体験する機会でした!
体験ということなので、こちらも小学生になった気分で参加!最初に応援する候補となる3つの団体が紹介されている動画を見たあと、グループになって「その団体を選んだ理由」などを話し合い、「いちばん知ってもらいたい活動」や「活動のよいところ」を発表する45分×2コマの授業。当日はセッションの時間が80分ということもあり、グループワークではなく個人ワークかつショートバージョンでしたが、
こども達が社会課題と接して解決に向かってそれぞれの役割を果たしていくための、よいキッカケになる といいな。
個人的には、ソーシャルリーダーシップという言葉を使う中で、
「リーダーシップ」に対する考え方を整理しておく必要がある と感じました。これまでの日本のリーダーシップって、誰か1人が引っ張っていくイメージだと思うのですが、
リーダーシップは1人1人が発揮するもの 。そこの前提でボタンの掛け違いがおこると悲しいですからね。
「こどもの貧困」から学ぶ~課題認知拡大からはじめるファンドレイジング徹底解明~
香川に引っ越して、最初に支援しようと思ったのが、子ども食堂もやってる
NPO法人高松フードバンク さん。支援の理由は追々お話しするとして、やはりトップランナーの方々から直接お聞きできるのは、色々なことに一気にキャッチアップできる良い機会。
特定非営利活動法人キッズドア 理事長の渡辺由美子さん、
特定非営利活動法人 山科醍醐こどものひろば 理事長の村井琢哉さん、一般社団法人日本地域福祉ファンドレイジングネットワークCOMMNET理事長の久津摩和弘さんのお三方による高速高密度なお腹いっぱいセッション。実際にあったエピソードや1学区に1拠点つくる支援施設の年間予算の算出など、実践的な数字の積み上げ方にうならされます。
全国各地で子ども食堂が誕生していますが、ファンドレイジングする際に重要な右脳と左脳の連携のためには、客観的な数値の提示が欠かせませ。ファンドレイジングに成功している団体のHPには、主要な数字が出ているので、それを拝借するのが大事。
また、こどもの貧困を無くすために必要な対策をマップ化し、それに必要な資金や人手も見える化することで「おとな善がり」にならない事業戦略が立案可能になるなと感じました。
多様な寄付手段を自団体に備えることで、様々な層の寄付者とコミュニケーションが可能になり、活動が広がっていく。NPO活動の目標は、究極的にはNPO自身が解散することにありますが、その過程でより沢山の人を巻き込んでいくことが大切だと、改めて実感した2日間。香川県からも盛り上げていきますよ!